
博多南駅前ビル2階のカフェるるんでは様々な人が集う。そこは那珂川で働き、暮らす人たちの憩いの場であり交流拠点。地元の食材を使った料理はどれも美味しく、食に関する様々なイベントが開催されている。今回は人気の手作りドーナツを取材。ドーナツが誕生するまでの試行錯誤やスタッフの料理に向き合う姿勢をご紹介します。
生地から作られる自家製ドーナツ
cafe Ruruqのショーウィンドウに並ぶドーナツは単なるおやつではありません。
200円ちょっとの価格の中に「ごちそうとしての体験」と「地域の人々がつながるためのチケット」が隠されています。
今回は取材記録から見えてきた「cafe Ruruqのドーナツ」と、それを支える株式会社ホーホゥの運営哲学についてご紹介します。
ホーホゥの中垣さんにお話しをお聞きしました。
以前「出来立てですよ」とおすすめしてもらって食べたドーナツがとても美味しくてびっくりしました。今回はカフェるるんのこだわりがつまった自家製ドーナツについて製造秘話やメニューについて聞かせてください。

るるんのドーナツってなんであんなうまいんですか?

ありがとうございます!うちのドーナツはお店で生地から手作りしている「自家製」ドーナツなんですよ。
と言っても、ドーナツの生地は作った時点で発酵が進んでいくから「作るしかない」といった方が正しいのかもしれません。
基本的には
- ドーナツそのものを買って販売する
- 生地から作る
のどっちかになると思います。
きび砂糖で作るからやさしい甘さに
うちは生地から作ってるんですが、生地作りでは上白糖(じょうはくとう)を使わず、きび砂糖(きびざとう)だけで作ってるんです。
きび砂糖を使うとすごく優しい感じになるというか、もう全然「甘さ」が違います。
甘ったるいドーナツって分かりますかね?あれはあれで美味しいんですが、うちのはあの感じではなくて食べやすい甘さになってて小さな子どもからお年寄りまで楽しると思います。
健康のこととかも考えたら絶対に上白糖よりもきび砂糖の方が体に良いからですね。材料費や手間を惜しむのではなく、お客さんに美味しくて健康なものを食べてほしいと考えています。
2年間の修練や様々な試行錯誤

なるほどー。生地から作ってるから材料にもこだわり、あのやさしい甘さになるんですね!自家製と聞くとすごく大変そうな気がしますがやっぱり大変です?


大変ですよ~!(笑)特に発酵が難しくて、季節や気候によって生地の膨らみ方が変わるんです。
冬場は全然膨らまなかったり、夏場は暑さでちょっとだらんとなってしまったり…
発酵機を使って同じ設定にしても狙った通り、均一に膨らませることが出来なくて。
それはそれは大変で、「お店でドーナツを出そう!」ってなって作り始めた最初の頃は泣きながらやってましたよ。本当に商品化できるのかな?って…
「揚げたてドーナツ」の難しさ

最初に三宅さんが「揚げたてが美味しかったよ」って言ってくれましたけど、揚げ方にも結構コツがあるんです。
揚げる温度が低すぎたら油を吸ってべちゃべちゃのドーナツになっちゃうし、熱すぎたら表面が焦げてしまいます。
「勘」や「コツ」が必要で、コツを掴んだ!と思えるようになるまで2年くらい掛かりました(笑)
実はそういう試行錯誤を経てからお店に並んでるわけなんです。
商品化されてお客様に届くまでにそんな苦労があったんですね…。お話を聞いているとホーホゥさんがカフェるるんの経営で大切にしていることが少し見えてきた気がします。

わくわく感と四季折々のメニューから生まれる物語

メニューを見ていくとオレオやクリスマス限定のものなど旬のものがたくさんありますが、これにしよう!と思ったきっかけはありますか?


毎年その季節によってこれを出したいねっていうのはあるんですが、インスタを参考にしたり色んなサイトや本を見ながら考えています。
これクリスマスっぽいよね!とかこれはハロウィンっぽいイメージ!みたいな感じで「インスピレーションと想像力」を頼りに作っています。
お客様の健康を考えたり喜んでもらうことを大事にしているんですが、新しいメニューを作るときは作り手がわくわくするか?を基準にしています。作り手がわくわくして作ったものって不思議と味にも反映される気がするんです。
スタッフのおすすめドーナツ「甘納豆」

いつも出してるわけではないのでオススメしにくいんですが、私は甘納豆が乗ってるやつがすごく好きなんです。
見た目もカラフルでかわいいし、これはぜひ食べてみて欲しいです!
あとは塩バニラも好きです。ホワイトチョコにちょっと塩を入れて、甘じょっぱい感じにして上にクランチを乗せていて夏とかによく出ます。
定番のきび砂糖のドーナツも人気です。小さい子はまだチョコとかまだ食べられなかったりするので、お母さんがきびドーナツを選んでお子さんに食べさせたりしています。
出来立ての特別感と売り切れの悔しさ
私はやはり出来立てがおいしかったです。なんか「出来立てのドーナツ」っていう言葉だけでわくわくします。出来立てを食べたいと思ったら何時ぐらいに来たらいいですか?


日によって発酵時間が伸びる場合や、お客さんの入りによっても変わりますが基本的には11時から12時の間です。その時間帯に並べているものは揚げたてでちょっとあったかいですよ。
ドーナツを買いに来られたお客さまとのエピソードで思い出深いことはありますか?
夕方に来てくださった方がドーナツが売り切れてて悔しがってくれることがあったのですが、申し訳ない気持ちももちろんあるんですが愛されてて嬉しいなぁ…って思います。
あとはご家族への手土産に買って帰ってくれる方もいて、ご家族のみなさんが食べてくれるシーンを想像すると作って良かったなって感じます。
なんていうんだろ…?その季節にしかないメニューや売り切れてしまうこともあって、それは経営として見たら「売れたのに売れなかった機会損失」なんですが、私たちが大切にしていることやお店の物語に参加してくれてる感じがするんです。
メニューを考えるわくわくや、手作りの大変さや、わたしたちが喜んでもらいたいと思っていることを共有出来ている気がします。
大手ドーナツショップのように必ず商品が並んでいる状態には出来ないけど、売り切れてしまう悔しさや買えたときの喜び、作り手がわくわくしながら考えた季節限定のメニューなど…るるんならではのストーリーがあるんですね。

ドーナツはいわば会話への参加チケット

ドーナツに関するお話を聞いてきましたが、るるんで中垣さんにお話しを聞いてると知り合いや色んな方が通りかかって話しかけてくれました(笑)これってすごいことですよね。

ビルメンテナンスの方、ミリカの職員さん、近くの会社で働かれている方がランチで寄ったり…知り合いが通りかかって「あれ、三宅さん」って声を掛けてくれるのがすごく嬉しかったです。
待ち合わせているわけではないけど「ここにいたら誰かに会える」と感じました。

2階は公共の場でもありますし、カフェるるんという空間を通じて様々な人が交差する地域の交流拠点にしていきたいです。
勉強をしている学生たちや、カードゲームをしているこども、新幹線を待っている方や、食事やお茶をしにきてくれる方々…色んな人がいます。
そういった性質を持った場だと思うので、ドーナツを食べてるときに偶然誰かと出会っておしゃべりして楽しい時間を過ごす。
ただ飲食を出すのではなく、その先にある「会話」「帰属感」といった体験価値を那珂川の皆さんと一緒に作っていきたいと考えています。
今日のおやつを食べる時に「また誰かに会えるかも」と寄っていただけると嬉しいです。
皆様のご来店、心よりお待ちしております。







